【猫のいい話】 12月の寒い夜、 ダンボール箱を 抱きしめて 家路を急いでいた。 ときどき箱の中から・・・

猫のいい話

12月の寒い夜、

私はダンボール箱を抱きしめて

家路を急いでいた。

 

空からはわずかばかりの雪が

まるで綿毛のように頼りなさげに

風に翻弄されていた。

 

ときどき箱の中から聞こえる

かすれた鳴き声が

私の愛しさを加速させた。

 

箱の中には半年前に出会って

私がナナと名づけた可愛い猫♀が

力なく横たわっていた・・・。

 

 

私はとある病院で

看護助手として働いている。

 

病院の裏に犬を飼っている家があり、

昼休みにはその犬と

遊ぶのが私の日課であった。

 

もちろん飼い主さんの許可は得ていた。

 

実は私、以前から犬が大好きで

どちらかというと猫は嫌いだった。

 

なんとなくイメージで

『猫は怖いもの』だと思っていた。

 

半年前のその日も

いつものように犬と遊んでいた。

 

すると前触れもなく猫がやって来た。

 

猫は犬を臆することもなく

犬も猫を気にしてない様子だった。

 

その猫は足にスリスリしてきた。

私はその痩せた猫を恐る恐る触った。

 

すると猫はコロンと横になり

もっと撫でろと言ってきた。

というか、そんなふうに感じた。

 

その日、私は初めて猫を可愛いと思った。

 

その日から猫は

毎日、私に撫でられにやって来た。

 

日に日に私の気持ちは

犬より猫に傾いていった。

 

秋になり、その頃には猫に会いに

行くことが私の楽しみになっていた。

 

私はその猫に『ナナ』という名を

勝手につけて可愛がっていた。

 

昼休みになるとナナは

餌を貰えるわけでもないのに

私の所に甘えにやって来た。

 

しかし、12月半ばになると

ナナは突然姿を現さなくなった。

 

「この寒空の下あの子はどうしている

のだろう」と私は心配で仕方がなかった。

 

ナナが姿を現さなくなって4日目、

次の日私はお休みだった。

 

その日は特に冷えて

今にも雪が降りそうだった。

 

私は何か気持ちがソワソワして

帰りにもう一度病院の裏に行った。

 

『やっぱりいないよね』

と思って帰ろうとしたとき、

 

ナナが病院の倉庫の裏から

街灯の下に立つ私の所に

よろよろと歩いてきた。

 

理由は分からないが

明らかにナナは衰弱していた。

 

私は段ボール箱を貰い、

ブランケットを敷いてその中に

ナナを入れて帰ることにした。

 

ナナを家に入れ、部屋を暖め、

とりあえず必要なものを買いに走った。

 

ナナはダンボールの中で

酷い下痢をしていた。

 

綺麗にしてあげて

その夜はベッドで一緒に寝た。

 

とにかく、

愛しくて愛しくて仕方がなかった。

 

次の日病院に連れて行ったら、

少し衰弱はしているものの異常なし。

 

下痢は野良猫ゆえ色んなものを

食べていたのが原因とのことだった。

年齢は2歳半くらい。

 

今はもう、ずっと一緒にいたかのように

寛いでいるナナ。

 

私に猫の可愛さを教えてくれたナナ。

いつまでも愛しているよ。

 

『地域猫ボラさんからのごはんを待つ、地域猫のキキちゃん♀』

今日は、かないかほりさんのお話を元に動画を作成しました。

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374【視聴者さんの猫のいい話】12月の寒い夜、ダンボール箱を抱きしめて家路を急いでいた。ときどき箱の中から・・・
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