もう十数年前に亡くなった
お婆ちゃんと猫の話。
お婆ちゃんは猫が嫌いだった。
いや、お婆ちゃんの場合、猫が嫌い
というより動物全体が苦手だった。
お爺ちゃんが亡くなって
半年ほど経った頃、お婆ちゃんに
軽く認知の症状が出だした。
そんなある日、猫嫌いなはずの
お婆ちゃんが猫を拾ってきた。
いつも散歩している公園の
テニスコートの脇に備え付けられた
ベンチの下に倒れていたそうだ。
こっちを見て何か言いたげ
だったので連れてきたと
お婆ちゃんは言っていた。
何かの血統が入っているのか
少し毛が長かった。
猫は弱っていたが
何とか回復して元気になった。
不思議なことに猫が来てから
お婆ちゃんの認知の症状はなくなった。
いつも縁側で座布団を2つ並べて、
お婆ちゃんは座布団に座り、
猫は座布団の上で丸くなっていた。
お婆ちゃんは猫に話しかけては
楽しそうに笑っていた。
私の目には猫がお婆ちゃんの後を
ついて回ると言うより、
お婆ちゃんが猫の後を
ついて行っているように見えた。
お婆ちゃんと猫は家の中では
いつも一緒にいた。
猫が来て数年経った冬の寒い日の朝、
１階でいつもは
ほとんど鳴くことのない猫が
「ギャー！」
という悲鳴にも似た声で鳴いた。
驚いて2階から降りてくると
お婆ちゃんが倒れていた。
原因は脳梗塞。
なんとか命は取り止めたが、
入院してそのまま病院がやっている
施設に入った。
それから2ヶ月もしないうちに
お婆ちゃんは亡くなった。
葬式も終わり猫は鳴くこともなく
凛とした態度でお婆ちゃんを見送った。
そして5月のうららかな日に
縁側の座布団の上で
猫は眠るように
ひとりで息を引き取った。
生前、お婆ちゃんとお爺ちゃんは
とても仲が良かったと聞いていた。
あの猫はきっとお婆ちゃんのために
お爺ちゃんが遣わしたのではないかと
私は思っている。
| 『地域猫ボラさんからのごはんを待つ、地域猫のゴロちゃん♂』
ゴロちゃんの名前の由来は、どこからかやって来た新入りに関わらず、他の子を追い散らしました。 まるで去年のやっくんのようです。 で、ゴロツキのゴロちゃんとなりました。 ところで、うちの娘の豆娘のチャンネルを登録ご視聴くださり本当にありがとうございます。 初投稿にかかわらず、みなさんのおかげでとんでもない視聴回数と登録者数になりました。 娘もめっちゃ喜んでおりました。 本当に感謝しかありません。m(__)m |
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