私が小学校1年生の頃の話なので、
もう40年以上も前の話。
うちには私が生まれる10数年前から
飼われていたメスの黒猫がいた。
名前は黒猫なのに、なぜか『ちゃちゃ』
元々野良猫で、うちに来たときには、
すでに成猫だったらしい。
私が小学校の頃は待機児童や学童保育
なんて言葉すらなく、
共働きや片親で学校から帰っても
親がいない子たちは
いわゆる『かぎっ子』と言われていた。
両親が共働きの私も、かぎっ子だった。
両親は私のことを心配してか、
ちゃちゃに「なお(私)のことを
お願いね」とよく言っていた。
学校から帰るとまず、ちゃちゃに
ごはんをあげるのが私の役目だった
ごはんをあげると決まって
ちゃちゃは私の顔を見て鳴いた。
それはまるで「なお、先に食べなさい」
と言っているようだった。
私が「給食食べたから大丈夫だよ」
と言うと、ようやく食べ始める。
両親がちゃちゃにごはんをあげても
そんなことはなかったので、やっぱり
私を心配してのことだと思う。
そんなちゃちゃは私が小学校1年生の
夏休み前に亡くなった。たぶん老衰。
あの当時の猫で20年以上は
相当長生きだったと思う。
私は泣いて「学校に行きたくない」
と言ったのを憶えている。
結局、学校が終わった後、
ちゃちゃとふたりきりで
過ごしたのは3ヶ月ほどだった。
ちゃちゃが亡くなって
1ヶ月くらい経ったころ、夢を見た。
霧がかった道で大きな墓地を
右に見ながら、
見知らぬお婆さんに手を引かれ
喋りながら歩いている夢。
お婆さんは「学校は楽しい?」とか
「おともだちは出来た?」など、
私のことばかり聞いてきた。
そして、もう墓地が途切れるところで
お婆さんは私の右手を両手で覆って
私の目選まで腰をかがめた。
「私はここまでなの。今日は
なおと沢山お話し出来て嬉しかった。
気をつけて帰るのよ。
本当に…、本当にありがとう。」
そう言ってお婆さんは何度か
振り返っては、来た道を歩いて
霧の中に消えて行った。
ハッと目を覚ました私は泣いていた。
幼心にあのお婆さんは
きっと、ちゃちゃだと思った。
五十を過ぎた今でも
あの夢のことは忘れられない。
『地域猫ボラさんにごはんを貰う、地域猫の黒猫のちょんちょん♂』
編集しながら思ったのですが、ちょんちょんってかなりの美形ですね。 毛艶も良いし、たぶんケンカも強そうです。 |
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