十年ほど前、なぜか家の前に
茶トラの子猫が捨てられていた。
『なぜうちの前に?』と思ったが、
これも何かの
縁だと思って飼うことになった。
家の中で飼いたかったが、
しょっちゅう網戸を
破っては外に脱走した。
人懐っこくて可愛い子だったが、
外に行けばケンカばかりだった。
その度、結構酷いケガをしてくるので、
病院での治療費が多くかかった。
うちは母が病弱だったこともあり、
金銭的に豊かではなかった。
それでもうちの親は
人間の食費をケチっても、
猫の経費はケチらない
ナイスな親だった。
特に母は嬉しそうに面倒を見ていた。
その茶トラが2年ほど前に
急に帰って来なくなった。
家族だけでなく友人にも頼んで
探したが、とうとう見つけることは
出来なかった。
猫がいなくなって数ヶ月、
さすがにあきらめかけていた。
すると父が、見るからに
みすぼらしい茶トラを拾ってきた。
「うちの子みたいなのが
フラフラついて来てな」
と言っていたが、
同じ茶トラではあったが
明らかに違う猫だった。
病院に連れて行くと、
腎臓病の猫であった。
『たぶん、年寄りだし病気も持って
いたので捨てられたのではないか』
とのことだった。
定期的に注射に点滴、
療養フードなどなど…。
おとなしくていい子だったが、
この子も前の猫同様、
お金のかかる猫だった。
残念ながらその子は
1年持たずに眠りについた。
最後にうちの子で幸せだったと
思ってくれたなら嬉しいと思った。
前の茶トラの時は、急にいなくなった
ので実感もなく涙も出なかったが、
この子は目の前で
看取ったのでたくさん泣いた。
最近、母が買い物帰りに何気なく
買った宝くじで100万円が当たった。
「あの子たちが返してくれたのかな。
でも多すぎるよ。
少しでも長くいてくれた方が嬉しい
のに…」と母は呟くように言った。
確かにあの子たちの
治療費としては多すぎた。
そう思っていたら、2日前に茶トラの
子猫2匹がうちの庭に迷い込んで来た。
母は嬉しそうに
その子猫たちの世話をしている。
「なるほど、あの宝くじの余りは
この子たちのためだったのですね(笑)」
『豆父に甘える、地域猫の茶トラのやっくん♂』
動画の猫はうちの近所の地域猫たちです。 私たちの動画で地域猫への理解が広がってくれると嬉しいです。 |
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