親を早くに亡くし、
猫とのふたり暮らし。
いじけているわけではないが、
親がいないことでいろいろ苦労した。
何年か前の話。
個人でビジネスを始めて
成功している憧れの人がいた。
その方のセミナーや
コミュニティにも参加していた。
自分も起業して成功したいと
常々思っていた。
ある日、その方が
新しいビジネスを立ち上げるための
協力者の募集があった。
「もし、その気があるならやって
みないか」と直接連絡もいただいた。
話を聞くとビジネスパートナーを
育てるみたいな感じで、
住む場所も用意するとのこと。
もちろん参加するには
今の仕事は辞めなければならない。
確かにリスクはある。
でも、チャンスだと思った。
ただ引っ越す先はペット不可、
飼っている猫を
手放さなくてはならない。
子猫の時から飼っている猫で
つらい時や嬉しい時を
一緒に過ごして来た
相棒のような存在。
そんなに簡単に、猫と離れるという
決断を下せる訳もなかった。
しかし私は、訪れたチャンスを選んだ。
自分でも、
とんでもなく最低な奴だと思う。
猫の里親募集をすることにした。
幸いうちの猫は、大人の猫であったが
人見知りもしないし甘えん坊だった。
里親が決まり、いよいよ明日、
猫を連れて行く前の晩のこと、
PC作業をしていたら猫が甘えに来た。
猫はいつもキーボードを
叩く左腕にお腹を乗せて
香箱を組んで寛ぐのだ。
そんな、いつもと変わらない
猫の態度に、思わず涙が出てきた。
明日には、この
相棒だった猫はいないのだ。
「ごめんね、ごめんね」と
言いながら泣く私に、
猫は立ち上がって優しく言った。
「ボクは大丈夫、心配しないで」
私は、猫のその言葉に驚くよりも
本格的に号泣してしまった。
子どもの時に
「ヒック、ヒック」となって
泣き止みたくても
泣き止めない時があった。
まさにあんな感じ。
一時間ほどで、ようやく落ち着いた。
落ち着いた私は、携帯を手に取り
里親さんになる予定だった方に
丁重にお断りの電話を入れた。
その方は「それが猫にとって
一番良いこと。気にしなくていいよ」
と言ってくださった。
結局、今も相棒猫と一緒に
仲良く暮らしている。
もし、猫を手放していたら
ビジネスで成功していたとしても
一生後悔していただろう。
あの時のチャンスは逃したが、
自分で取り組んできた副業が
もうすぐ本業になりそうだ。
あれ以来、
猫はしゃべらないけれど、
これからも、苦楽を共にして
生きて行こうと思う。
『地域猫ボラさんにごはんを貰う、地域猫の黒猫のちょんちょん♂』
※動画の猫はうちの近所の地域猫たちです。 私たちの動画で地域猫への理解が広がってくれると嬉しいです。 |
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