「まめくん、迎えにきましたよ」
12月、街はクリスマス気分。
私たち夫婦は猫ボラさんに保護され、
里親募集されていた
子猫に会いに来た。
『豆(まめ)』と名づけられた
黒い子猫は子猫が入るには
若干大きいケージに入れられていた。
小さな黒い猫はケージの中から
「シャー！」と私たちを威嚇していた。
「人馴れしています」と聞いていた
私たちはその様子に少し戸惑った。
戸惑う私たちに猫ボラさんは笑顔で
「どうぞ、(ケージを)開けて
抱っこしてあげてください」
『シャーシャー状態なんですけど…』
と思いつつ恐る恐る
ケージの扉を開けて手を差し伸べた。
すると一転、
子猫は「ニャ」と言って手にスリスリ
そして、自ら私の手に乗ってきた。
片手に乗るほどの小さな命。
豆くんはキャリーに入るまで、
私の膝から離れなかった。
うちにやって来てからも
豆はそのフレンドリーな性格で、
先住猫のジャックや花と
すぐに仲良くなった。
私たち夫婦も
その様子を微笑ましく見ていた。
そのときは5か月後に起こることなど
予想だにしていなかった・・・。
衝撃的と言えることが起こった
のは、今年のゴールデンウイーク。
県外にお嫁に行った姉が
泊りでうちに遊びに来た時のこと。
玄関のチャイムが鳴り、
姉がやって来た。
好奇心旺盛でフレンドリーな
黒猫の豆は私と一緒に
玄関までついて来た。
そして豆は、
姉を見るなりハッとした顔をして
いきなりスリスリ。
それどころか、
姉の行く先々について回った。
それはまるで、生き別れた母親に
出会ったかのような反応だった。
豆は私のことも大好きなのだが、
さすがにここまでではなかった。
実は姉も猫好きで黒猫のメスを
飼っていた。(姉は特に黒猫好き)
いきなり自分にべったりになった
豆を見て、調子にのったのか
姉がこんなことを言いだした。
「この子かわいいねえ。
黒猫だし去勢もしてないし
うちの子のお婿にどうだろ？」
(豆はまだ去勢してなかった)
どうやら姉は、家のメス黒猫に
子どもを産ませたくて
お婿さんを探していたらしい。
『バカな、こんなかわいい私の豆を
養子に出せるわけなかろう』
と思った私は姉にこう言った。
「豆が行きたいって言ったらね」
そして、
いよいよ姉の帰る時がやって来た。
玄関まで見送りに来た豆に、
姉が膝をついて手を広げて言った。
「豆くん、うちに来る？」
すると豆は、なんと！
「ニャ」と言って姉の胸に飛び込んだ。
ニンマリする姉。
Σ(ﾟДﾟ)Σ(ﾟДﾟ) ｴｰ！と、
こちらは夫婦そろってビックリ。
そのまま豆は姉のところに
お婿に行ってしまいました…orz。
豆も姉以外にはそんなに懐くことは
なかったので、きっと姉に対して
何か感じるものがあったのでしょう
今は年上のお嫁さんと
仲良く暮らしています。
『♪結婚するって本当ですか～ニャ』
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